痕だらけ
第20話
「っ、もう……いいでしょ?」
我慢していたけれど、流石にもう限界がきて思わず制止の言葉をもらす。
すると、先程から私の身体に噛み付いていた蓮音がぴたっと動きを止めた。
まさか本当に止めてくれるとは思わなくて、少し驚くけれど蓮音の次の行動が読めないので表情に出さないように必死に務める。
「何で? まだ足りないのにー。後ここもー付けたい」
首筋に顔を埋め、またチクッとした痛みが走り眉根を寄せた。
自分の身体を見下ろせば、噛み跡だらけで。
中には青紫になっている箇所もあった。
どんどん自分の身体が傷つけられていくのを我慢して耐えることしか出来ないだなんて……。
「詩音にはたくさん触らせた癖に何でそんなこと言うの?」
「っ!」
「ハルちゃんって意地悪だよねぇ。詩音ばかりずるいから、ハルちゃんの言うことは聞かないよー」
詩音の名前の所だけ低い声で言った蓮音にビクッと身体を震わせた。
忘れようとしてたのに、嫌でも昨日の事がフラッシュバックしてしまい顔を青ざめた。
昨日は仕事で蓮音が帰ってこれないということで詩音にめちゃくちゃにされた。
普段は無表情がデフォルメなのに、凌辱するときは本当に別人かというくらい楽しそうで残虐的な笑みを浮かべる。
そして何度も無理だと言ったどころで私の身体に触れる指を止めることがなかった。
お陰で気づけば気を失っていた。
目を覚ますと目の前には、ニコニコと笑みを浮かべた蓮音が私を真っ直ぐに見下ろしていた。
それから蓮音が私の身体に噛み付いて、今に至る。
「っ、ん……痛っ。ね、ねぇ、詩音……は?」
「んー? 詩音はぁ、仕事で今日の夕方まで居ないよー。だから、それまでは僕と二人きりだねぇ♪」
この双子は同じ仕事しているわけではないみたいで。
休みが交互だったり、被ったりしている。
まだ、休みが交互の時は1人しかいないのでマシな方だった。
詩音よりは蓮音の方が感情が分かりやすいので、とっさの判断がしやすい。
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