第15話
このまま服だけじゃなく、身体にもハサミで傷つけられるんじゃないかと思うと、怖くて堪らない。
カタカタと震える手で、服に手をかけていく。
「ハルちゃん、こっち見ーて」
「え? っ!」
その言葉に、蓮音の方を向くとスマホを何故か私の方へ向けていた。
そして直ぐに何をしているか分かった。
「や、止めてっ」
「あっは、手止まってるよー?」
クスクスと笑いながら、蓮音は再び”早く”と促してくる。
そう言われても、動画か写真を撮られていて平気で服を脱げるはずがなかった。
途方に暮れていると、詩音の手が伸ばされた。
「やっぱり脱がして欲しい? 素直じゃないのは嫌いだから、もしかしたら肌傷つけるかもだけど、仕方ないよね」
「あーあ、詩音怒らせちゃったよぉ?」
あまり感情が読めないけれど、詩音が怒っているということが私にもよく分かった。
「け、携帯向けるの止めて…」
「何で? どうせ春香の行動は一日把握してるんだよ」
「そうそう。忘れちゃったぁ? 僕たちが監視カメラで行動把握してるってこと」
忘れてなんかいない。
確かにカメラで行動を把握しているとは言われた。
だけど、カメラが何処にあるかなんて把握していないから嫌だけどまだ直接見えるよりはマシだった。
直接動画か写真が撮られていると分かると、本当に異常なことを実感してしまうから嫌になってしまう。
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