第12話

有無言わさずベッドに寝かせられて、布団までかけられてしまった。


そして頭を何故か撫でられ、眉根を寄せる。



「あの、子供扱いしないで……」


「子供扱い?そんなのしてない。春香のこと撫でたいからしてるだけ」


遠ましに離して欲しいという意味合いも込めて言ったのに、全く意味が通じてないらしく。

詩音が不思議そうな顔をした。


思わずため息をつきそうになると、蓮音が顔を近づけてきた。

近づいてきた端整な顔立ちにギョッとして腰が引ける。



「嫌っ!」



キスをされそうになり、蓮音の口を手で覆う。

すると、ムッと眉を寄せ不機嫌そうな顔をされてしまった。



「ハルちゃん…、手離して」


「〜っ」



顔を必死に横に振る。

蓮音の顔が怖いけれど、キスをされるのは嫌だ。

ギュッと目を瞑ったことを後悔したのは直ぐのことだった。



「ひっ!?」


首筋に顔が埋められ、露わになった項に噛み付くようにキスされ驚いて身体をビクつかせた。


な、何!?

目を見開くと詩音と間近で目が合った。



「あ、ずるい」


私の手を意図も簡単に掴んで、離すと蓮音が苛立ったような声を上げた。

その間も詩音の手が身体をまさぐるように触れてくる。


出したくもない声を上げそうになり、慌てて口を手で覆う。



「早いもん勝ち、そう言ったのは蓮音でしょ」


勝ち誇ったようにそう言う詩音に、蓮音は今日何回目かの舌打ちをした。

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