第11話
「蓮音、邪魔しないで」
詩音がゾッとする程冷たい声を出しているが、蓮音はヘラヘラとした笑みを浮かべるだけだ。
この双子は仲がいいのだか、悪いのだかよく分からない。
とにかく穏やかそうに見えたとしても、詩音のことは怒らせない方がいい。
かといって蓮音も怒らせない方がいいのはさっき首を絞められたことで、分かり切っている。
やはりこの双子は狂っている……。
そう思わざる得ない。
私という1人の人間をこうも簡単に監禁できてしまう時点で、狂っているけれど。
「……疲れた?」
どっと疲れがきてため息をついてしまったらしく。
詩音が手を伸ばして私の頬を撫でた。
「あ……」
頷いていいものか悩んだけれど、ここで嘘をついたところで辛い目に合うのは自分だと判断して頷いた。
「ハルちゃん、少し寝よーか。ベッドまで運んであげるねー」
「え、自分で歩け……ひゃっ!?」
私の言葉を遮り、蓮音に横抱きに抱っこされてしまう。
急に視界が上がったことに驚き、思わず蓮音の首に腕を回してしまう。
カシャン、と鎖の擦れる音が響き不快感で眉根を寄せる。
「ずるい」
「ずるくなーい。早いもん勝ち、でしょー」
何やら言い争っているけれど、それどころじゃない。
「こ、怖い……落ちる」
このまま床に落とされてしまったらどうしよう……。
恐怖で青ざめる私に、2人はキョトンとした顔をして次の瞬間には笑った。
「あっは、僕がー落とすわけないじゃん」
「ふふ、春香は大袈裟だね」
……何だか馬鹿にされてるようで腹立つ。
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