第5話
どう考えても言っている内容は異常だと言うのに、この2人は全く悪びれもなく平然としている。
「っ、ここから出して!これ外してっ」
絶対おかしい。
このままじゃ、私までおかしくなってしまう。
差し出された箸を払い、逃げようとしたけれど鎖に足がもつれ転びそうになる。
次にくるであろう痛みに目をギュッと瞑った。
「おっと、危ないなぁ」
「蓮音、ナイスキャッチ」
想像していた痛みが来ることはなかった。
どうやら、床に顔面をぶつけてしまう前に身体を支えてくれたらしい。
お腹に回された腕にハッとして顔を上げると。
「っ!」
「ハルちゃん、ここから逃げられると思ったら大間違いだよ」
ニコニコしていた人だと信じられないくらいの冷たい目線を向けられヒュッと息を飲む。
怖い……。ただそのことしか思えなかった。
「ずっとここでハルちゃんは暮らすんだよ。分かったぁ?」
「な、何を……」
「ハルちゃんが嫌がろうが、抵抗しようが、無駄だからね」
その言葉通り、私はここに閉じ込められてしまった。
* * *
はぁ、と深いため息をつきベッドの上でじっとしているのも嫌なので動ける範囲で歩き出す。
あの二人は日中は仕事に行っているため、この時間帯だけがつかの間の休息だ。
精神的には参っているけれど……。
それにしても毎日、毎日外に出られない生活は退屈だ。
何もすることがないまま過ごすことなんて、信じられない。
「そういえば……」
動ける範囲で見つけた大きい本棚。
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