第2話

するとどちらかの手が私へと伸ばしてくるのが分かり、声にならない悲鳴を上げたとき。



「ふふっ、かぁいいなぁ♪ ねぇ、やっぱり正解だったでしょー僕の判断は♪」


「……ムカつくけど、今回は褒めてあげる」


「うーわ、上から目線ムカつくー。あっは、ねぇハルちゃんもそう思わない?」



予想に反してその手が私に危害を加えるわけではなく、触れるわけでもなかった。

ただ単に脅し?をしただけだったのか。



怯える私を見て楽しんでいる雰囲気に困惑する。


それに、はるちゃんって何…?

もしかして私のこと?



「あれーハルちゃん、聞いてるー?」


「春香?」



何も声を発せずにいると、二人がぐっと距離を縮め顔を近づけてきた。

ビクッとして、目を見開く。


この二人、顔が似てる……?



って、それよりも。


「な、何で私の名前……」



知っているのだろうか。この二人と面識はない、筈。


出会っていたら忘れることなんて出来ないくらい、整った顔立ちをしていた。



「ふふ♪ 何で、ってねぇ?」


「……もしかして忘れた?」


「え…?」



明るい茶髪の男の人は楽しそうに目を細め、黒髪の男の人は悲し気に眉を下げた。


忘れた、って何のことだろう。

不思議に思って彼らを見つめることしか出来ずにいると、黒髪の人が手を伸ばして私の頬に触れた。



「春香、俺らのこと覚えてないの?」


「っ!?」


突然のことに反応が出来なかった。

その手が冷たくて、驚く。



「ずるーい。僕もハルちゃんに触れたいの我慢してたのに!」


「煩い蓮音。邪魔しないでくれる」

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