閉じ込められた小鳥

第1話

『出して』


そう何度声にも出して、何度願ったことだろうか。



窓には格子がはめられていて、まるで外をシャットアウトするように黒いカーテンが外を遮る。


部屋に電気はついているけれど、今が夜なのか朝なのか全く分からない。

時計は部屋を見渡す限りなく、テレビもなければ私の携帯すらもない。


冷暖房は完備しているようで、常に一定の温度に保たれているため季節も分からない状況だった。



多分ここに監禁される前は春頃だった筈だから、そんなに経っていなければ夏になる頃なのかもしれない。



このベッドの上で生活するようになってどのくらい経っただろう。


少し身動きするだけでジャラ、と金属が擦れる音がする。

重い両手足を見つめ、深いため息をついた。



今日も外されていなかったか……。


ベッドの柱に固定されているのは手枷、足枷で。

私の手と足には枷がはめられていた。


何でこんなことになってるんだろう……。






▫️▫️▫️






いつものように家に帰って、全てやることを終えてから就寝したはずだ。

そして目覚めた時には、見知らぬこの部屋にいた。


見覚えのない部屋と手足枷を嵌められている状況に何が何だか分からなくてパニックを起こしていると。



「目、覚めたー?」


「っ、え!?」



この場にそぐわない明るい声音が聞こえてきた。

ハッとしてその声の方へ視線を向けると。


そこには背丈が同じくらいの男の人2人がいた。



「ふふ♪ 混乱してるみたいだねぇ」


「おはよう。気分はどう?」



誰だか分からないけれど、この2人が私をここに連れてきたのだろうか。

部屋の明かりがついているけれど、薄暗くてよく顔が見えない。


「っ……ひっ」



恐怖で身体を震わすことしか出来ずにいると、2人が近付いてくる気配を感じた。


来ないで、そう言いたいのに声が出ない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る