第12話

な、何で首を絞められて……?


息苦しくて、必死に弟さんの手を離そうと藻掻くけど冷たい目をしながら力を強められてしまう。



「あは、紗奈ちゃん苦しそう。可愛いねぇ」


「やっ、ぐっ、うううっ!」


「苦しいの嫌だろ?」


嫌だ嫌だ。

だって全然息が出来ない。


全然力が適わなくて、絶望してしまう。


何でこんな目にわたしが合わないといけないの……っ。

とにかく必死に頷くと、漸く手が離された。


急激に入り込んでくる酸素に盛大に咳き込む。



「ゲホッゴホッ! はっ、はっ……はぁー……はっ」


喉に手を当てて、涙を零しながら息をしていると佐久間さんに顔を上げさせられた。


涙でぐしゃぐしゃになった顔を見られ、隠したくなるけど力が入らない。



「ふふ。俺ね、さっきも言ったけど紗奈ちゃんの苦しんでる顔だーいすき。食べちゃいたいぐらい好き。」


「や……やめっ」


「紗奈ちゃんが言うことを素直にきけば、これ以上はしないよ。ねぇ、薫」


顔にかかった髪を指で払い、私の顔に口付ける。



「紗奈はずっとここに居てくれるよね。お願いだから、これ以上僕に紗奈のこと苦しめさせないでね。じゃないと……もっと酷いことしたくなる」



「…………」



狂気的な笑みを浮かべる2人に、目の前が暗くなるのを感じた。

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