第6話
連れられるがまま、佐久間さんの家に着いていく。
何故こうなったか分からないけれど、里奈を佐久間さんの家に置いておくわけにはいかない。
里奈はこの家に私がいると聞いて、来させられたのに実際には私がいなくて驚いただろう。
……案外私の住んでいる家からそこまで離れていなくて、驚いた。
佐久間さんがどうぞ、と促して家の中へと入れられた。
リビングへと足を入れると、男の子に話しかけられながらも引き攣った顔で頷いたり、小さく答えていたりする里奈の姿があった。
「里奈っ!」
「っ!? お、お姉ちゃんっ」
バッと顔を上げた里奈が涙を流しながら、私の元へと駆け寄ってくる。
ギュッと抱き締められ、その身体を抱きとめた。
私よりも頭1つ分背の低い里奈の頭を撫でてあげると、涙をポロポロ零しながら見上げてきた。
「わ、私、お姉ちゃんがここにいるからって連れてこられたのに……お姉ちゃんがいなくて、パニックになって、」
「ごめんね里奈。1人で心細かったでしょう。それに……いくら私がここにいるからって言っても知らない人に着いていっちゃ駄目よ」
もし、悪い人だったら里奈は大変な事になっていたかもしれない。
佐久間さんが悪いかどうかは初対面だからまだよく分からないけれど……不用心過ぎる。
「う……で、でも……お姉ちゃんと友達だって言うから」
「え……」
里奈の言葉に佐久間さんを見ると、ふふと態とらしい笑みを返してきた。
嘘つきだ……。
グズグズと泣いている里奈をとりあえず泣き止ませないと。
とりあえず身体を離させて、涙を指で拭っていると後ろから詰まらなそうに呟く声がした。
「兄さん達まだ帰ってこなくて良かったのに。もっと里奈と居たかった」
「っ!!」
ビクッと身体を震わせ、里奈がまた私にしがみついてくる。
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