第29話
「それは僕の台詞なんだけど? 梓ちゃんが僕だけを愛してくれていればこんな事にならなかったのにね」
クスッと笑って柊くんが耳元で囁く。
「っ……」
2人に責められ涙が溢れる。
何も真斗くんも柊くんも愛していなかったわけじゃない。
柊くんから逃げたのは、柊くんがどんどん壊れていく様を見ていたくなかったからで……。
だけど、結局は見つかって捕まってしまって、真斗くんからも柊くんからも2人の執着から逃れる術なんてなくて……。
「梓、泣いてんの?」
「何で泣くの? 泣きたいのは僕なのにさぁ」
真斗くんが嘲笑って、柊くんは心外だとばかりに不満げに言い放つ。
「ごめ、ごめんなさい……」
私が2人をおかしくさせてしまっているのかと思うと、苦しくて悲しくて仕方なかった。
泣き顔を見られていないことが、目隠しされていてせめてもの救いだった。
誰か助けて下さい。今カレと元カレに監禁されそうです るい @korohana
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