第26話
「まぁ、梓ちゃんも反省してるみたいだしあの部屋に入ったことも許してあげたらどう?」
柊くんがクスクス笑いながら私を庇ってくれた。そうだ……あの部屋に入ってしまったことも謝らなきゃいけなかったのに。
でも、何で入っちゃいけなかったんだろう。至って何も違和感のない普通の部屋だったのに。
「梓。」
「っ!」
真斗くんの冷たい声にビクリと身体を跳ねらせる。視線を合わせる為か屈んだ真斗くんを恐る恐る見ると、涙を指で拭われた。
「ちょっと怒ったぐらいで泣くなよ。梓が俺から逃げたのがムカついただけだ。そんなに怒ってねぇよ」
「……真斗くん……」
「俺から逃げようとすんな。お前が俺から逃げるなんて許さない」
「ッン、」
グッと顔を寄せられ唇を食むようにキスをされる。簡単に口の中に入り込んできた真斗くんの舌が私の口内を暴いていく。
「んっ、んんっ、」
クチュ、と音を立てながら角度を変え何度もキスをされ、堪らず真斗くんにしがみつく。
息継ぐ暇も与えないキスに息苦しい。
「は、っ、」
息をしようとするのに真斗くんがまた塞いできて。くらりとする。
「ちょっと、勝手に梓ちゃんにキスなんてしないでよ」
「……チッ。」
柊くんがイラついたように真斗くんを引き剥がし、ニコリと笑った。
中断させられたことに真斗くんは舌打ちをして不機嫌そうだけど、私は漸く酸素を取り込めたことに安堵する。
「梓ちゃん大丈夫ー?」
「っ、」
「ふふ。かぁいい。僕の梓ちゃん。」
「やっ、んんん、」
今度は柊くんに唇を塞がれてしまう。折角息が出来たのにまたキスをされてしまったら意味が無い。
「んっんん、はっんん」
「……ふっ、は」
柊くんが息を乱しながら深く口付けてくる。苦しくてやめて欲しいのに。
身体が熱く疼いていく。
舌の絡み合う音が響き、恥ずかしいのに。もっとして欲しいとすら思ってしまう。
「はぁ。やっぱムカつく。俺の梓に他のやつが触れてるなんて許せねぇ」
「……んっ。ふふ……それはお互い様でしょ。僕だってさっきまで腹が煮えくり返りそうだったよ。」
柊くんが真斗くんの言葉に漸くキスを止めて、後ろを振り返った。
は、はと荒く呼吸する私にお構いなしに2人は話を続ける。
「こいつが梓の処女奪ったなんていっそ殺してやりてぇよ」
「はは。僕が羨ましいんだ? 梓ちゃんの唇も身体も最初に貰ったのは僕だもんね」
「…………死ねよ」
「あはは。君こそ梓ちゃんの前から消えて死んでくれる?」
「お前がな」
何故が喧嘩しだした2人に、顔を青ざめる。
物騒なことを笑いながら言うなんて怖い……。
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