第23話
特別に何かある、というわけでなさそうで。
至って普通の部屋で、本棚がいくつかある。
真斗くんが読んでいた本、なのだろうか……。
でも、ただの本なら何でこの部屋に入るのを許可しなかったんだろう……。
そんなの気にしている場合じゃないのに。
バクバクとなる心臓が痛みさえ感じる。
この部屋に逃げたことなんてお見通しだろうに、何で2人は来ないの……?
嫌な予感に呼吸が荒くなっていく。
今更ながら家の中とはいえ、2人から逃げてしまったことに後悔していると。
「梓」
「ーーっ!!!」
ドア越しに聴こえた真斗くんの声にドキンっと心臓が跳ね、息を呑んだ。
やけに優しい声に身体が震える。
「何でこの部屋に入るかなぁ。あれ程言ったのに。」
「っ、そ、れは……その、」
咄嗟に逃げてしまったし、もうこの部屋に入ってしまったのだからどうしようもない。
「まぁ、いいよ。ここ、開けろ」
「梓ちゃん早く開けて? 怖い思いするの嫌でしょう?」
やっぱり柊くんも居るらしい。
怖い思いは常にしている。今更だ。
開けないといけないのに、身がすくんで立つことが出来そうにない。
「お、怒ってるでしょう……」
悪意はないとはいえ2人を突き飛ばしたのだから、声は怒っていないけど……きっと怒ってる筈だ。
ここを開けたらどうなるかなんて分かっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます