第18話

2人から撫でられたり、口付けされたりしながら嫌でもグッとこらえて我慢して耐えてると。


真斗くんがふとゆるりと口端を緩めた。その笑みに嫌な予感がして警戒する。

こんな顔をする真斗くんはろくな事を言わない。



「明日に制服は届くからそれは楽しみにしておいてやるけど、今は違う服に着替えしてもらおうか」


「あぁ、アレ着せるんだ。君って悪趣味というか結構変態だよね」



柊くんが飽きれたように鼻で笑いながら私の顎を擽った。

まるで猫を愛でるかのような擽り方に眉を寄せる。


なんで着替える必要があるのか分からない。

でも、きっと私には拒否権は無いんだろう。


一体どんな服を着せるつもりなのか分からないけど、柊くんはどんな服に着せるのか分かってるらしい。



「真斗くん、今のままで……」


「持ってくっからお前は梓をちゃんと捕まえておけよ?」


「君に言われなくても梓ちゃんを逃がさないよ。目を離すと大変だからね」



私の言いたいことを無視して真斗くんは別部屋へと行ってしまった。

柊くんと2人きりになってしまう。

2人に囲まれているよりは少しはマシになったけど……この家に閉じ込められてからは常に不安しか感じていない。


真斗くんと同居していた時と状況は変わらないけど、なにより2人から毎晩のように魘われるのは精神的にも肉体的にもキツい。


1人を相手にする時すら苦痛を感じる時があるというのに、2人からなのだからその倍以上苦痛になる。



「梓ちゃんのブレザー服は僕の家にあるから明日持ってくるね。明日の午前中には届くから、どっちも着ようね」


「な、なんで高校の時の制服を柊くんが持ってるの? 処分した筈なのに……」



柊くんがにこやかに笑って平然と言うけど、そもそも持っていること自体がおかしい。

私の制服は確かに処分してしまったのに。

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