第14話
「梓の事深く愛してたのに、裏切るなんて酷い女だもんなぁ」
「っ、真斗くん! 私は真斗くんのこと愛してるよ。そんな裏切るなんて言わないで……」
そんな風に言われたら凄く傷付く。
涙が溢れて頬を伝っていく。切実に訴えても真斗くんは私に冷たい瞳を向けるだけで。
手首を掴まれ、鎖の音を立ててソレを嵌めていく。止めて欲しい、なんて言えなかった。
真斗くんを追い詰めてこんな風にさせてしまったのは私なのだから。
あぁ……もしかして秋くんも?
私が知らぬ間に追い詰めてしまっていたのかな。だから、あんな風になってしまったのかもしれない。
2人をおかしくさせてしまったのは私?
「梓、俺は本当はこんな事してお前を閉じ込めたくない」
「真斗く……ん」
「だけど仕方ねぇだろ。アイツと浮気してたのもはらわた煮えくり返るっていうのに、これ以上男を増やされたら……気が狂いそうだ」
「っ」
真斗くんが手錠を嵌めた両手首を掴んで、そっと口付ける。
ゆるりと口元を緩ませているのに、真斗くんの瞳は仄暗いままで。
ゾクリと背筋に冷たいものが走る。
「頼むから俺をこれ以上狂わせんなよ。梓ーー」
そんな苦しそうな声で言わないで……。
私はどうしたらいいのか分からなくて。
真斗くんをただ見つめることしか出来ない。
「真斗くん……」
愛してるのに。
どうもすれ違っているような気がして悲しかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます