今カレが私を外に出してくれそうにない

第13話

真斗×梓


「っ、真斗くん、何をしてるの」


鎖の擦れるような不快な音に浅い眠りから、目を開けると。

寝そべる私の横で鎖を持った真斗くんがいた。


その手の中にあるのは鎖だけでなく、一般人では犯罪を起こさない限り見る機会は無い手錠も一緒に。


怯える私に真斗くんはふっと口角を上げた。



「なにってコレを梓に嵌めようと思ってな。俺とアイツがいくらお前の望むように愛してやってたとしても分かんねぇだろ? お前がまた浮気すっかもしんねぇし」


「浮気なんかしてないって何度も言ってるのに」


あの日、1人で外に出た以外ではこの部屋から出なかったし、柊くんにも会っていなかった。

真斗くんの事を愛してるから、他の男の人に気を向けるわけもないというのに。そもそも真斗くんが外に出してくれなかったから真斗くん以外の人と会うことも無かった。


その事は知ってる筈。


それなのに真斗くんは浮気をしたと言って疑わない。私の言葉を信じてくれないのが悲しくて。


真斗くんと柊くんに捕らわれているという状況が辛くて仕方ない。


「それを付けなくても私はここから逃げないよ……」


逃げたくても、逃げられないというのが正しいけど。どうやって逃げ出せるというのだろう。


「分かんねぇだろ」


「え」


「梓は俺を裏切ったんだから」


「っ……真斗くん……私は、」


真斗くんの事を愛してるのに。

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