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第27話

バタン、と扉の閉まる音にゆっくり目を覚ました。

いつの間に、眠ってしまっていたんだろう。


"お父さん"になる人だと、お母さんから紹介されてその人に居心地の悪さを感じながらも必死にお父さんだと言い聞かせてたのに。



その人はお母さんと籍を入れてなかった……。

何もかも分からないまま、その人にキスをされて……それで…………それで?


「……どう、なったんだっけ……」


無意識のうちに唇に触れていた手をハッと見つめる。

その手は自分では気づかなかったけど、震えていた。



そうだ。

気づけば意識を失っていたんだ。


ということは、あのドアの閉まる音はあの人が出て行った音だったんだ。



「っ……」


じわりと涙が込み上げる。

何で、どうして。

お母さんは私に何も言ってくれなかったんだろう。


私があの人のものになるって一体どういう事なの?

そんなのお母さんから何も聞かされていないのに、既に決まっているかのような言い方だった。



「分からない、よ……」



ここから逃げ出したい。


あの人の私を見る目付きが初めて会った時から、嫌な気持ちの悪さを感じていた。

だけど、お母さんの為にと必死に我慢してたのに……。

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逃げられない檻の中 るい @korohana

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