第25話
お母さんを信じたいのに。
ドクンドクンと心臓が嫌に早鐘を打つ。
お父さんは青ざめている私を見下ろして愉しそうに口角を吊り上げた。
まるで嘲笑うかのような笑みに思わず息を呑む。
「舞ちゃんは知らない事だらけだね。それもそうか。君のお母さんが話すわけない」
「っ」
「舞ちゃんに1つ真実を教えてあげよう。君のお母さんーー舞里さんとは籍を入れてないよ」
「え……」
サラッと言われた内容に目を瞠る。
何を言ってるの……?
だってお母さんと再婚した筈で……お母さんの薬指にも、お父さんの薬指にも指輪が嵌められている。
「ふっ。可愛いね舞ちゃん。私に対してそんな怯えた目をして、戸惑って。可哀想に」
まるで愛おしいとばかりに目を細め、薄らと頬を赤く染めているのは気のせいじゃなかった。
「う、嘘だ……」
「嘘じゃないよ。本当だ」
クツリ、と喉元を鳴らしてお父さんが肩を竦める。
ガンっと頭を打ち付けられたような衝撃が走る。
じゃあ、私がお父さんと呼んでいるこの人と私は一体どういう関係になるの……?
お母さんは私に”お父さん”になると言っていたのは……嘘だったということ?
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