第21話

どうしよう…。


会いたくない、といっても避けられない。

同じ家に住んでるのだからどうしてもお父さんとは接しないといけない。

わかっているけど、今だけは離れていたかった。



「舞ちゃん。お願いだから話をしよう」


「っ!」


ドンドンとドアを叩かれてしまう。

上手い言い訳が思いつくはずも無く。渋々、振り返ってドアを開けるしか無かった。



「お父、さん…」


部屋の中に入ったお父さんが、ドアを閉じる。

バタン、と閉められたドアの音がやけに大きく聞こえたのはきっと気のせいだ。


私の部屋にお父さんがいるのが違和感で。


何処に目を向けていいのか分からない。


突っ立ったままでお父さんと向かい合っているけど、どうしよう……。



「舞ちゃんは私が嫌い?」


「え!?」


お父さんから放たれた言葉に驚く。

反射的にお父さんを見ると、傷ついた顔をしていた。


ドクッと心臓が鼓動を打つ。


「嫌いなんかじゃないです!」


慌てて否定すると、お父さんは安堵した顔をした。

苦手ではいるけど、嫌いというわけではなかったのに……。

そんな風に思わせてたなんて……。

思わず唇を噛み締める。


確かに私の態度を見れば嫌っているのだと思ってしまうかもしれない。


幾らなんでもよそよそしい態度をしてしまっていた事を後悔した。

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