第20話
*
「に、逃げてきちゃった……」
バタンと部屋のドアを閉じてドアを背に、ずるずるとしゃがみこむ。
心臓がバクバクと早鐘を打っていた。
お父さん、きっと変に思ったよね……。更に傷つけてしまったかもしれない。
せっかく仲良くしようとしているのに。
自分がつくづく嫌になる。
「お母さん……」
仲良くしなさい、と言われていたのに。まだその言葉は守れそうになかった。
部屋の中でぼうとしてしまっていると、ドアをノックする音がしてハッとした。
「舞ちゃん」
「っ! お、お父さん……」
ドクッと心臓が鼓動する。
冷や汗が出た。
まさかこんなに早くに私の所へ来るとは思わなかった。
飽きれてしまったと思ってたのに……。
「ちゃんと話がしたいんだ。せっかくの休みだから、時間はたっぷりあるだろう?」
「……あ」
確かに今日、明日って学校は休みだった。
お父さんも休みで。
どちらかが出かけようとしない限り、この家では2人きりだった。
特に友達と遊ぶ約束はしていないけど……今では約束しておけば良かったと後悔する。
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