第19話

「ご、ごめんなさい……」


そんな顔をさせたいわけじゃなかったのに。

ただ、私がまだまだ慣れないだけ。

お父さんに対して違和感を感じるのは気のせいだと、必死に言い聞かせるのに……。



なんでこうも不安が消えないんだろう。


これでは普通の親子とは程遠い。



「私はまだ信用されていないんだね」


「っ」


お父さんの顔を見ていられなくて俯くと、お父さんがポツリと寂しそうに呟いた。

違う、とは否定出来なかった。

私の態度がそう出してしまっているから。


やっぱり急にお父さんだと、言われても今すぐに慣れるのは難しい。



「わ、私、部屋にもどります」


これ以上、お父さんと一緒にいるのは無理だった。

お父さんの方を見ずに、立ち上がるとお父さんが止めるよりも早くに2階へと上がって行った。



だから、気づけなかった。

お父さんが何を考えていたのか。私をどう見ていたのか。


お父さんの方を少しでも見ておけば、2階に上がるんじゃなくて家を出るべきだったのだと分かったのに……。



気づい時にはもう全て遅かったんだ。

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