第16話

あの後、自分がどうしたのか覚えていない。

けど、ちゃんとご飯を食べてお風呂に入っていた。


そしてベッドの上で考えるのはお母さんの事。



「……」


今思うと、前からお母さんの様子はおかしかったかもしれない。

何か私に隠している。


勿論、お父さんと再婚したのにも秘密にされていたからびっくりしたけど……。



「お母さん……」


何か深刻な病気なんじゃ……。お母さんが亡くなってしまうんじゃないかって思ったら胸が苦しくなった。



大丈夫。大丈夫。

お父さんの言う通り直ぐに良くなるよね。


大丈夫。


自分に必死に言い聞かせる。


目を強く瞑って寝ようとするけど、目が覚めて眠れる筈も無かった。



「水を飲もう……」



少し落ち着かないと。

部屋から出て下へ降りようとした時、聴こえてきたお父さんの声にピタッと足を止めた。




『……舞ちゃんが不安がっててね』


『………ーーーー…?』


『ん? あぁ。はは、大丈夫だよ。……まだその時じゃないからね。』



どうやら電話をしているらしい。

私の話をしている……?


どうしよう。

降りずらい。


勝手に盗み聞きしているようで落ち着かない。

部屋にやっぱり戻ろうかと思っていると。



「舞ちゃん?」


「っ!?!?!!」



声が思っていたより近くに聴こえびっくりすると。

お父さんが階段下から姿を見せ、私を見つめていた。



「あ、ご、ごめんなさいっ。」



気が動転してどうしたらいいか分からず、気が付けば部屋に戻っていた。

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