第13話

「! お母さん!」



中々降りてこないお父さんに不安になって無意識に自分の指の爪を噛んでいると、2階からお母さんと一緒に降りてきた。


目を覚ましたお母さんに安堵して、慌てて駆け寄るとお母さんが笑ってくれた。



「心配かけたわね。身体が良くなったから、大丈夫よ」


「でも、やっぱり顔色が良くないよ! やっぱり病院行こう!?」



お母さんは大丈夫だと言うけれど、やっぱり顔色が良くなさそうで。

懇願するようにお父さんを見ると、お父さんが頷いてくれた。



「……やっぱり病院行こうか」


「! 蓮也さん」



お父さんの言葉に安堵すると、お母さんは何故か嫌そうな顔をした。



「大丈夫ですよ。横になっていれば……」


「駄目だよ。舞ちゃんのためにも病院に行こう。俺も病院に行った方がいいと思うしね。」


「でも……」



お母さんがチラッと私を見て、ため息を付いた。



「お母さん、お願いだから病院に行って?」


「…………。分かったわ」


「良かった……」



お母さんが諦めたようにそう言ったけど、病院に行ってくれるようで安堵した。



「じゃあ今から行こうか。自分で車に乗れるかい?」


「えぇ。蓮也さん、すみません……あそこの病院で」


「分かった。舞ちゃん、悪いけどお留守番しててくれるかい?」



車に向かうお父さんとお母さんの後を着いていくと、お父さんがふと振り返ってそう言われてしまった。


「っ……」


一緒に行く気でいたのに、まさかお父さんからそう言われるなんて思ってなくて顔を歪めてしまう。

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