第12話

「……、舞には言わないでくれましたか?」


「勿論。舞ちゃんが泣いちゃうだろうからね」


「そうでしょうね。泣くでしょうね。あの子は寂しがり屋だから……」



悲しそうに微笑む舞里さんに小さく笑い返す。


「でも俺が居るから大丈夫だよ」


「…………。それは分からないですよ」


少しだけ拗ねたように言ってきた。

舞里さんの手を握りしめる。


「舞ちゃんが凄く心配してる。下に降りられそうかい?」


「横になっていたからラクになりました。舞に元気な姿見せてあげないと」


「そうしてくれると助かるよ。舞ちゃんが可哀想でね。残念な事にまだ俺では駄目みたいだから」


そう言うと舞里さんは嬉しそうに笑った。その勝ち誇ったような笑みに苛立ったが我慢する事にした。

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