第5話
【累side】
「美羽ちゃん、起きて」
「ん……んー……」
ベッドに横になりながら頬杖をついて美羽ちゃんを見下ろす。
そろそろ夕飯の時間だ。お腹を空かせてしまっては可哀想だから起きてもらたいんだけれども。
柔らかい頬をつつくと、眉を顰めて反対の方向を向かれてしまった。
思わずクスリと笑みが零れる。
白い肌にはくっきりと俺が付けた独占欲の証である痕が散りばめられている。
本当だったら、もっと付けたいのだけれど、あまり見える所に付けると拗ねてしまうから……。
今のところは抑えているけれどそのうち見える所にも俺のものだと一目でわかるように付けるつもりでいる。
無理させてしまった自覚はあるけれど、美羽ちゃんが可愛いのがいけない。
出会った時から俺を夢中にさせた彼女が欲しくて欲しくて、無理やりにでも手に入れてしまったけれどそんな俺を否定しないで一緒に居てくれる美羽ちゃんは優しい。
優しいからこそ不安になる。
もし俺以外にも彼女の優しさに漬け込んで手に入れようとする奴がいたら。
そう考えるだけで嫉妬でどうにかなりそうになる。
もちろん、そんな奴がいたら徹底的に排除するけど。
美羽ちゃんは俺だけのもので、俺だけに愛されていればいい。
だから、いづれ彼女のことを閉じ込めて大切に大切にするつもりだ。
まだ、"自由"でいさせてはあげるけれど。
もし、美羽ちゃんが俺から離れたいと言ったり離れようとしたその時にはーーー。
スっと視線をクローゼットに向ける。
そこには買い揃えておいた手錠や足枷、首輪、鎖たちが箱に閉まってある。
それらを使うか使わないかは美羽ちゃんの行動や発言にもかかっている。
「ふふ。なるべく怯えさせたくないんだけど……だから、使わない為にも俺から離れようとしないでね」
ちゅ、と目尻にキスを落とすといやいやするように美羽ちゃんは首を振った。
嫌がるなんて酷いなぁ。
俺を拒否するなんて許さないよ?
赤く色づく唇を塞ぐようにキスをすると、息苦しいのか顔が歪む。
もっと違う表情も見たくて、舌を伸ばして美羽ちゃんの口内を犯していく。
「んん……んっ、ん!?」
「あ。起きた?」
舌を絡め取り甘噛みすると、流石に違和感を覚えたのか目をパチッと見開いた。
美羽ちゃんの視界に俺が写っていることに喜びが生まれる。
どうせなら美羽ちゃんが見るのは俺だけになればいいのに。
「な、何してっ」
「だって中々起きないから。美羽ちゃんのことずっと見てたのに」
「っ〜!! お、起きますから、退いてくださ、」
「だーめ。それに直ぐに起きれないと思うよ?」
「へ? あ……っーー!!!」
訝しつつ起き上がろうとした彼女にふっと困った笑みを向けると、美羽ちゃんは顔を顰めて震えていた。
腰を庇う体勢に苦笑する。
「ごめんね。つい可愛いくて制御出来なかった。明日学校行くの無理だろうから俺が連絡しておくよ」
「〜!! ひ、酷い……」
「大丈夫だよ、俺が介護してあげるからね。それよりお腹空いたんじゃない?」
涙目で訴える彼女が可愛くて涙を舐めとって、顔を近付けて問うと。
ーーぐぅ〜
と可愛らしいお腹の音が聴こえてきた。
お腹の音まで可愛いなんて反則だよね。
「ううう……恥ずかし、」
「可愛いね。だって激しい運動したんだから、お腹が減るのも当然だよ」
「!! なんて事言うんですか!」
顔を真っ赤に染めて怒った口調で言ってるんだろうけど、子猫がじゃれついているようにしか思えないんだよね。
美羽ちゃんの全てが可愛いから仕方ない。
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