第4話

部屋のドアを閉じると、ドアに身体を押し付けられてしまった。



「えっ……んんんっ、んぅ!?」



すぐ様、唇を押し付けられて口腔に侵入してきた先輩の舌に翻弄されてしまう。

逃げられないようになのか、両手を頭上で纏められてぐっと身体を密着させてくる。



「ま、待って!!」


「うん? やだ」


「さ、さっきもしましたよね!? 今日はもういいんじゃ……」


「さっきはさっき。美羽ちゃんのことを愛してあげたいし、美羽ちゃんのこと大好きだから抱きたい」


「……!!」



そんな真剣な顔で言われたらドキッとしてしまう。

かといってこのまま流されて抱かれてしまったら、足腰立たなくなるまで無理強いされるのは経験済みだ。


何としてでも阻止したい所だけど、ここまで追い詰められていて先輩を止めることが出来るかといったら……限りなく無理に近い。



「本当にこ、腰が痛いんです……。今だって腰が悲鳴を上げてて……だ、だからこれ以上されたら明日立てなくなるかな、なんて」


「へぇ。それはいい事聞いたな。抱き潰せば、美羽ちゃんは学校に行かなくて済むし、可愛い君を他の奴らに見せなくても済むってことだよね? いっそどうかな。このまま学校を辞めてしまった方が良くないかな」


「ん……? な、何でそんな話に?? 付き合う前にも言いましたけど、学校は絶対に卒業しますからね?」



何故正直に言って、こんな返しをいただくのか全くもって分からない。

学校を辞めてしまえばいいだなんて、とても冗談に聴こえないし言うのを辞めてもらいたい。


無理やり付き合わされた時にも"学校を辞めて家で帰りを待ってて欲しい"って言われたから怖い。


せめて学校は卒業したいし、あわよくばバイトでもいいから仕事はさせてもらいたい所だ。

家で閉じこもって生活していろなんて詰まらないにも程があるもの。



「俺以外の奴らが美羽ちゃんを見るのが苦痛なんだけどな……。まぁ、いづれそうなるように仕向ければいいか」


「……」


悲痛な顔をしてなんて事を言っているのだろう。

それに小さな声で言ったつもりなんだろうけれど、こんなにも近い距離にいるんだから聞こえてる。


いや、敢えて聞こえるようにしてたのかもしれないけれど。



それよりも先程から気になっていたものがある。

壁の四隅に設置されているもの。

顔を引きつらせて恐る恐る聞いた。



「あの、さっき気付いたんですけど……あんなもの前にありましたっけ?」


「ん? あぁ。美羽ちゃんの表情を余すこと無く映して眺めたいから取り付けてみたんだ」


「あの、止めてもらえませんか?」



やっぱりだとは思っていたけれど、部屋にカメラ付けてるなんておかしいし気持ち悪い!!

それにカメラ映像に私の事を映されているのはとても嫌だ。

考えるだけでゾッとする。



「俺の部屋なんだからどうしようと俺の勝手だよね? あ、違ったね。正しくは俺と美羽ちゃんの部屋だ。それにこれは俺の趣味でもあるから、止めるわけないよね」


「趣味って!! 私が嫌がってるのに、酷いです」


「何だかんだいって俺に抱かれるの好きだろう? 直ぐに蕩けて甘い顔をするくせに……」


「!? し、してません!!」


「可愛いなぁもう。それよりももういいでしょ? 我慢の限界」



我慢なんてしてなかったじゃない。

だって喋っている最中にも人の太ももやら腰やら撫で回してたものね。



「ふふ。後で俺のコレクション見せてあげるから、今は俺だけに集中して」


「んっ、んんん!! や、っ……あっ!」



クチュリ、と水音を響かせながら口付けられてビクッと肩が震える。

せっかく気直した制服も既に脱がされかけてしまっていた。


先輩の指が好き勝手に動き回ってしまう。



「可愛い……大好きだよ、美羽ちゃん」


「っ……んんんっ、」



耳朶を舐めながら甘く低い声音で囁かれて身体から力が抜けた。


ーーーズルい。


だけど、もう何も考えられない。






出来れば早く解放されることを願って、目を瞑った。

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