第14話

あんなに長い(というのか?)間離れていたのは、付き合って初めてだったから自分が思っていたよりも寂しかったみたいで。


累先輩のお家に着いて部屋に入った瞬間、累先輩に自ら抱きついていた。



「……美羽ちゃん」


累先輩がクスリ、と笑う。

そっと抱き締め返してくれるけど、こんなんじゃ足りない。

もっと累先輩に触れていたい。


「累先輩、キスしたい」


「どうぞ?」


累先輩は人の悪い笑みを浮かべ、顔を傾けてくれる。

狡い……。累先輩からキスして欲しかったのに。

ムゥとむくれるけど、累先輩は私からキスするのを待っている。


「……寂しかったです」


やっぱり何だかんだ累先輩と一緒にいるのが普通となっているから寂しかった。


小さく呟くと累先輩が腰に手を回して、私の身体をぐっと更に強く引き寄せた。



累先輩の首に手を回して口付ける。

私に委ねる気なのか累先輩はされるがままで。


それをいい事に、累先輩の唇を軽く噛んだ。



「ふっ、なぁに美羽ちゃん。どうしちゃったの? やけに可愛いことしてくれるね?」


唇を軽くくっつけたままで累先輩が嬉しそうに笑む。

自分でもらしくない事してるって分かってる。


「累先輩のせい、です」


そう。

こんな風にしたのは累先輩なのだから、責任を持ってもらいたい。


「累先輩、もっと……」


「……っ」


累先輩が余裕の顔を消して、切羽詰まったような表情へと変えると押し付けられた唇。

先程の軽いキスとは全く違う激しいキスに翻弄される。


角度を変えて何度も深いキスに、息が上がる。



「累せんぱ、」


「っ、はぁ美羽ちゃん」


足から力が抜けそうになった時、累先輩が唇を離し私の身体を抱き上げた。


息も定まらないままベッドに押し倒され、覆いかぶさった累先輩に再びキスをされてしまう。


苦しいのに、もっとと貪欲に求めてしまう。



累先輩が堪らなく好きで仕方ない。



「美羽ちゃん、もっと?」


「っ、」


お互い息が上がったまま累先輩が口角を吊り上げて聞いてくる。

そんなの分かりきっているだろうに。


累先輩の濡れた唇にキスをして答えたのだった。




「もっと……」

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