第13話

あっという間に6限目の授業を終え、放課後になった。


累先輩と本当に朝に会ったっきりであれから会えなかったから寂しさが募る。


これで累先輩が大学生になったらまた環境も変わるだろうから、中々会える機会が少なくなるのかもしれないと思うと余計寂しかった。


累先輩が私の教室まで迎えに来てくれるようなので、佳奈と矢田くんに別れの挨拶をしてぼぅとしながら待っていると。


勢いよく空いた教室のドアにビックリした。



「っ!?」


ビクッと肩を揺らして、慌ててドアの方を見るとそこには少し焦った表情をした累先輩が立っていた。

私の姿を見つめ、口許を綻ばせたかと思うと足早に近寄ってくる。



「美羽ちゃんっ!」


「!?」


ぎゅうっと力強く抱きしめられ目を見開く。

累先輩の温もりを感じてか、ようやく会えた事に嬉しさが込み上げてきた。



「はぁ〜美羽ちゃん不足で死ぬかと思った」


「なんですか、それ」


相変わらずの様子の累先輩に思わず笑ってしまう。



「本当なんだから。美羽ちゃんは? 寂しくなかった?」


「っ……」


累先輩にコツンと額を合わせられ、口ごもってしまう。

物凄く近い距離で見つめられ恥ずかしさで目を泳がせてしまう。

まるで嘘を言うのは許さないと言われているようで。



「それは……私も寂しかったです」


寂しかった、と本当の事を言うと累先輩は嬉しそうに微笑んだ。



「美羽ちゃん可愛い。顔真っ赤」


「っ、見ないでください」


「そんなの無理。ふふ。ごめんね、寂しい思いさせちゃって」


「そんなニヤニヤしないでくださいっ」


「だって正直に言ってくれたのが嬉しいから。顔が緩んじゃうんだよ。許して?」



ちゅ、と頬にキスをされまた顔が熱くなったのが解った。

誰も居ないとはいえ、教室に誰かが戻ってくる可能性だってあるのに。



「もう帰りますっ」


「うん。帰ったら美羽ちゃんをいっぱい触らせてね」


「っ!」



クスクスと笑う累先輩に手を引かれ、教室を出る。


やっぱり自分でも思っていた以上に累先輩と離れているのは寂しかったみたいで。

こうやって居られるのが凄く嬉しい。

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