第12話
▫️
「ねぇ美羽。今日は岡崎先輩来ないの?」
昼休みになり、佳奈と一緒にご飯を食べているとずっと不思議に思っていたのかコソッと聞いてきた。
教室で佳奈と矢田くんと一緒にご飯を食べるのは何気に初めてだ。
矢田くんも累先輩が姿を表さないことに不思議に思っていたのか、じっと見てきている。
「今日は忙しいみたいで、来れないって言っていたの。」
「あぁ、受験生だもんね。」
「岡崎先輩なら推薦だし、余裕なんだろ?」
矢田くんの言葉に苦笑いしながら軽く頷いておく。
累先輩は学年1位の頭脳だし、こないだ見せてもらった全国模試でも1桁の順位だった。
まぁ、凄く頭が良いんだよね……。その頭脳を少し分けてもらいたいぐらいだ。
「いつも顔を見せにくる岡崎先輩が来ないと美羽も寂しそうね〜」
揶揄うように佳奈に笑われ、思わず口ごもる。
うん。
確かにいつも学校でも累先輩と授業中以外は殆どいるから、こうやって学校終わるまで累先輩と会えないのは少し…………。
いや、かなり寂しいかも。
「……でも佳奈と矢田くんが居てくれて良かった。今頃1人で寂しくいる所だったから」
佳奈は矢田くんと二人で食べたかっただろうに私の為にと誘ってくれたお陰で、少し寂しさが紛れる。
「あの、佳奈も矢田くんもお昼誘ってくれてありがとう」
お礼を言うと佳奈は目を丸くして、微笑んでくれた。
「お礼なんか要らないわよ。私、美羽とご飯を一緒に食べられて嬉しいんだから。いつも岡崎先輩に美羽をとられちゃうから結構寂しかったんだからね?」
「佳奈……」
「佳奈の言う通り。別にお礼を言われるまでもない」
二人の優しい言葉に思わず顔を綻ばせた。
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