第11話
授業の合間の休み時間にわざわざ会いに来る必要も無いのに累先輩は私と出来るだけ一緒に居たいらしくて、来なくていいと言っても言うことをきいてくれた試しがない。
だから、今日学校終わるまで累先輩と学校で会えないというのは新鮮な気分だ。
「累先輩……苦しいです」
「だって、美羽ちゃんは寂しくないの?」
そりゃあ、しょっちゅう累先輩と一緒に居るから少し……寂しい気もするけど……。
累先輩が眉根を下げ悲しそうな目で見つめてくる。う……可愛い……じゃなくて。
「累先輩早く行かないと!」
このままじゃ遅刻しちゃうっ。急かす私に累先輩は何故かムゥと不機嫌そう。
「やだ……やっぱり美羽ちゃんと離れてたくない」
甘えるように累先輩がしがみつき、色気のある吐息をもらす。
耳朶に吹き込まれる吐息にゾクリと痺れが走る。
身体が反応してしまいそうになるのを堪え、累先輩の身体を無理やりにでも引き離した。
「累先輩、学校遅刻しちゃいます!」
「……美羽ちゃんがつれない」
「はいはい。早く行きますよ」
「はぁ〜今からでも美羽ちゃんを辞めさせたい。家に閉じ込めてしまえれば少しは安心出来るのに……」
ブツブツとゾッとすることを呟く累先輩に呆れつつ、早くと急かす。
今年は累先輩にとって将来を左右する大事な時期なので、極力学校を休むということをさせたくない。
私も出来れば来年も学校に行きたいので、なんとしてでも卒業させてもらえるよう説得するのを頑張ろう……。
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