第9話

もう酷い。

酷過ぎる。泣きながら累先輩にもう許して欲しいと訴えるのに、累先輩はますます笑みを深めるばかり。



「もっ、やっ、」


「美羽ちゃん可愛過ぎるよ。」


「ひっう、ううっ、」



ちゅ、ちゅと頬に口付けながら累先輩がうっとりと甘い声をもらす。

まだまだ終わらない累先輩からの愛部に戦慄する。


ゾッとする程の累先輩の甘い声音は雁字搦めにして抜け出せなくなる罠のよう。


この罠にハマったら抜け出すことなんて絶対に不可能とばかりに、累先輩にギュッと指を絡められた。



「俺の……可愛い可愛い美羽ちゃん。いっその事壊れちゃう?」


クスクスと恐ろしいことを言う累先輩に恐怖を抱くのに、愛おしさの方が勝る。

累先輩に言われるまでもなく私は十分、累先輩のせいで壊れていると思うのに。



「累せんぱ、好き……大好きなの……っ」


とっくにおかしくなっているのは私の方なのかもしれない。



「ふふ。あぁ、ほんと美羽ちゃんは俺を煽るのが上手だよね。ごめんね美羽ちゃん。今日は寝かせてあげれないよ?」


「ひゃ、っ〜は、んんっ!」


「もっと俺だけを求めて、その可愛い声を聞かせて?」


仄暗い瞳で笑う累先輩に愛おしさが募って、私から抱き締める。

もう過ぎる快感で身体は限界なのに、何処までも貪欲に求めてしまうのはきっと……累先輩のせい。




「愛してるよ美羽ちゃん」



ーーー累先輩の宣言通り眠らせてもらえることは中々叶わなかった。

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