第18話
それは途中までびっしりと文字で埋め尽くされていたが、途中から綺麗に真っ白になっていた。
「ここだ」
閻魔大王は、淡々とその空白部分を指さした。
「ここに本来あるはずの、5年分の記録が抜け落ちている。これは、お前の記憶が抜け落ちていることを意味する」
「俺の記憶が?」
はて?と幸人は首を傾げた。
生前、自分が記憶喪失になった記憶はない。
「自覚はないか?」
幸人は頷く。
大王は、幸人の反応を確かめるように黙っていたが、やがて深くため息をつき、頭にのせていた帽子を乱暴に脱ぎ取った。
帽子を握った手を勢いよく机に打ち付ける。その衝撃で、書類が何枚か宙を待った。
ギョッとする幸人の前で大王はガシガシと後頭部を掻きむしって唸った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます