第17話
「お前に悪気がないことは分かった」
幸人の話を聞き終わった大王は、書類に判を押す手を止め、深くため息をついた。
両手を組み、その上に顎を乗せる。
「だが、閻魔宮での逃走は、反省の意思なしと見なされ極刑に当たる」
「マジっすか」
「マジだ」
極刑。
それがどういうものか分からないが、周りの大人三人の反応を見る限り、あまりいいものではないのだろうということは容易に想像できた。
「このままだと、お前は問答無用で地獄行きが決定だ。俺が早々に、〝裁きの押印〟を押してしまったというのもあるがな」
大王がそう言った瞬間、大王の後ろに静かに控えていた片眼鏡の男が、これまた静かにニコリと微笑んだ。
その笑みに怖気が走ったのは、幸人だけではないはずだ。
オレンジ髪の男も、閻魔大王もわずかに顔を青くしている。
「……裁判抜きでの判決は、正しい判決を下せないため、本来は禁止されている。俺がそれを破ってしまったために、お前はもう一度、俺に裁かれる必要がある。そのために、お前の人生史が必要なんだが」
大王は片眼鏡の男から一つの巻物を受け取ると、それを勢いよく机上に広げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます