第17話

「お前に悪気がないことは分かった」


幸人の話を聞き終わった大王は、書類に判を押す手を止め、深くため息をついた。

両手を組み、その上に顎を乗せる。


「だが、閻魔宮での逃走は、反省の意思なしと見なされ極刑に当たる」


「マジっすか」


「マジだ」


極刑。


それがどういうものか分からないが、周りの大人三人の反応を見る限り、あまりいいものではないのだろうということは容易に想像できた。


「このままだと、お前は問答無用で地獄行きが決定だ。俺が早々に、〝裁きの押印〟を押してしまったというのもあるがな」


大王がそう言った瞬間、大王の後ろに静かに控えていた片眼鏡の男が、これまた静かにニコリと微笑んだ。

その笑みに怖気が走ったのは、幸人だけではないはずだ。

オレンジ髪の男も、閻魔大王もわずかに顔を青くしている。


「……裁判抜きでの判決は、正しい判決を下せないため、本来は禁止されている。俺がそれを破ってしまったために、お前はもう一度、俺に裁かれる必要がある。そのために、お前の人生史が必要なんだが」


大王は片眼鏡の男から一つの巻物を受け取ると、それを勢いよく机上に広げた。

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