第4話
部屋に取り残された二人の男は顔を見合わせ、やれやれとため息をついた。
「なんや、えらいご機嫌斜めやなあ」
「仕方がありません。仕事続きで疲れているのでしょう」
「大変やなあ。閻魔大王の仕事っちゅーのも」
「ええ。長いこと傍でお仕えしていますが、体力的にも精神的にも辛いのではないかと」
秘書が物愁え気に青年が去って行った扉を見つめる。
長身の男もまた、気遣わしげに開け放たれた扉の奥を見やった。
彼らが仕える青年。
彼こそが、地獄の支配者、最後の審判者、閻魔大王その人であった。
齢二十にも満たぬ青年の見た目をしているが、これでも何千年と死者を捌いてきた超古株の神である———
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