第10話
「早く体力を回復しないと、俺も生死を彷徨うことになる。
だから、誰の血でもいいから飲まないとやばかった。」
そこにたまたま運悪く居合わせたのが、私というわけか…。
ツイてなさすぎるでしょう。
何処の世界に、吸血鬼に血を吸われるOLがいるのか。
日本では聞いたことがない。
何処かの国の綺麗な美女が吸血鬼に血を吸われるという映画は見たことがある。
でも、所詮、作り物だ。
「だから、いきなり襲いかかったというわけですか。
大体の経緯は分かりました。」
もう、時計の針は24:00を指していた。
外は暗闇に包まれている。
「ただ…この世界に来たら、合成血液がないんだ。
俺は血がないと生きていけない。
かと言って、あちらの世界に戻るのも今の俺では体が耐えられない。」
「私の血を飲んで回復したんじゃないんですか?」
「思ったよりダメージが大きくて、全然回復していないんだ。
人間で例えたら、のどが渇いたから水を飲んだ。そんなレベルだ。」
「問題があるんですか?」
「吸血鬼は魔力や身体能力が超人なのと、空を飛べるんだが、今の俺はその能力が使えないんだ。
せいぜい、人を操る事しかできない。」
「そんな事ができるんですか!?」
「マインドコントロールもできるよ。」
「私のこともマインドコントロールで!?」
「真緒にはなにもしていない。
素だよ。」
「良かった。」
マインドコントロールされていないことに安心する。
「それで、人間の血を飲んでも良いんだけど…
人間の血と言うのは不思議と中毒性があって、人それぞれ味が違う。
だから、麻薬のように俺達、吸血鬼を誘惑する。
色々な人間の血を飲んでしまうと、歯止めがきかなくなって暴走しちゃうんだ。」
「それはつまり…?」
「人間を殺してしまうだろう。」
「えー!!」
やっぱり、吸血鬼は危険な存在だ。
真緒は後退りする。
「だから、ここで提案なんだけど…。」
ルキは立ち上がり、真緒にゆっくり近づけていく。
「なな…なに!!???」
ルキから逃げるために後退りをするが、もう、後ろは壁だ。
ゆらりとルキは真緒に近づき、追い詰める。
そして、顔を近づける。
赤い瞳と目が合う。
吸い込まれそうなほど怪しく光り輝く赤い瞳が真緒を見つめる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます