第21話
「はーい、どうぞ入ってきてくださーい♪」
気色の悪い猫なで声(おじさんバージョン)でドアの方に向かって言った。
「はい、失礼いたします」
凛とした声がした。
スラリとした手足を惜しげもなく披露してモデルのように教室に入ってくる。
なんだとっ!?
充の目が飛び出そうになる。
「若い先生だねー!」
「黒髪が綺麗で素敵!」
「副担任て…超ラッキーじゃん!」
美しく若い女性の登場でざわざわと教室が騒がしくなる。
「はーい、皆さん静かに!
うんうん、テンションが上がるのは分かりますが、
落ち着いてくださいね。
さ、先生、自己紹介をどうぞ」
「はい、ありがとうございます」
女は黒板を背にして中心に立つ。
「皆さん、はじめまして。
本日より、3ーAの副担任を務める事になりました、真田結夏と申します。
よろしくお願いします」
綺麗な礼をする。
「ぁぁぁぁぁあぁぁあ!?」
ガタッ!
思わず立ち上がってしまった。
「ん?
宝来君、どうしたのかな?」
「根本先生…か…っ、彼女は、20歳のはず…
副担任にするにはおかしな話のような気がするのですが?」
メガネをくいっと上げる。
「あら、お父様から話を聞いてないんですか?おかしいなー」
「え?お父様ですか…?」
「そう、宝来君のお父様からの依頼で、真田結夏さんを3-Aの副担任にしてくれとの事です。
はい、この学園はその依頼を快く受け入れました!っということです♪」
は?
全くもって、意味がわからない。
「そんな!」
しかし、お父様の依頼なら、俺はどうすることも出来ない…
なんだ、何が起こっている!!?
これでは、俺の世話役というより、監視役!?
あの女を見ると、俺の方を見て微笑んでいた。
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