第17話

「お前がなぜここに居るんだ!?」


「…秘密です。」


「はあ!?」


「では、ごきげんよう、充様。」


「待て待て!

お前は俺のお世話役だろう!

なぜ、この学園に居るんだと聞いている!!!!」


「だから、言ってるでしょう。

秘密だと。」


はあっと呆れ顔で言われる。


なぜだろうか…

この女はいちいち俺の癪に障る。

事情がわからない限り、これ以上の詮索は無意味か…

くっそ、この女の目的は一体何だ!何を考えている!?


朝から、脳をフル回転に働かせるが、いくら考えても、答えが見つからない。


表情が険しくなっているのを自己分析で気づく。


おっと、いけない!

この、宝来充、たかだか世話役の女を1人、手玉に取る事が出来ないでどうする?


スッと充は聖人属性の笑顔になる。


「結夏さん、貴方がなぜここに居るのか、事情は分からないけれど、この学園では大人しくしていることだね。」


「充様、それは脅しですか?」


「脅しだなんて物騒だな…

これは、この学園で過ごすためのアドバイスだよ。」


「…ええ、良いアドバイスを有難う御座います。」


結夏は凛とした態度で優雅に充の横を通り過ぎる。


「充様も、油断なさらないように…。」


去り際に、そう言われる。



「なにをいって…」


返答する前に、結夏は美しいモデルウォークで充を通り過ぎた。



なんだ、あの女…


油断って…

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