第11話

「カルマさん!」


黒い高級スーツに身を包んだ長身の男がななみの隣に立つ。



うわ…

まつ毛長くて、綺麗な顔…


ななみは男の美しさに言葉を失う。


「そうだ!!

カルマさん、この女性、ケントさんのお客さんで居ましたっけ?」


コソコソとななみに聞こえないように受付の男はカルマと呼ばれた男に聞く。


会話が全部丸聞こえだけど…


ななみは苦笑する。


「うーん…見たことないな…」


「そうですか…ケントさんに会いに来たらしいんですが…

通して良いものか…」


「そうだね、ケントは特別だもんね。」


「でも、この名刺を持っていたんです。」


受付の男はカルマに名刺を見せる。


「!」


カルマは綺麗な顔を変化させた。


「へえ…君さ、ケントとは知り合いなの?」


ななみはカルマに質問される。


「…知り合い…ではないかもしれません。

でも、顔を見たいんです。」


「ふーん…

でもね、ケントは簡単に会えないよ?」


「え?」


「だって、この店のNo.1だからね。」


「No.1!?」


「そう。

ケントに会うにはお金かかるよ?

君のような一般の人には少し難しいかもしれないね。」


カルマに値踏みされた。


私の価値は、ケントに会うには相応しく無いらしい。



「でも、せっかく来たんだ。

全ての女性に良い思い出で帰ってほしいからね。

ケントに会う事は出来ないけど、No.2のこのカルマが少しの時間だけど相手をしようか?

それにさ、なんでケントの特別な名刺を持っていたのか、経緯を聞きたしね。」


そう言って、綺麗な顔で微笑んだ。


どうやら、No.1のケントに会うことは出来ないらしい。

私では会う資格がないと現実を突きつけられた気がした…

健太に会いに来たはず…だけど、ここで情報は絶たれた。



「…あ…。」


ショックを受けるななみにカルマはくすっと笑う。


「おいで、俺が慰めてあげる。」


カルマに手を掴まれる。


「私…かえ…」


「ななみちゃん!?」


私を呼ぶ、聞き慣れな声がした。

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