第16話
外を眺めていた河北さんが振り返る。
「……そうね」
意外にも彼女も同調してくれた。
ホッとして私はカウンターの下に置いていた自分のカバンを上にあげた。
「ね、ねえ。このノートはどうする?」
カウンターの上に置かれっぱなしの黒いノート。
触るのが嫌で、私は指さして河北さんに問いかけた。
「誰かの忘れ物かもしれないし、引き出しにいれておきましょうか」
「そ、そうだね!」
河北さんは何の躊躇もなく、ノートをカウンターの引出しの中に入れた。
帰り支度を終え、戸締りを確認してから二人で図書室を出る。
河北さんが図書室にカギをかけ、職員室へと並んで向かう。
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