02.近くて遠い
第13話
「はあ、さっむ」
冬の気配がはっきりしてくると、街並みもそれに合わせて電飾だらけになってきた。
かといって予定のない私は、この景色は侘しかったりする。
自ずと恋人たちが増えて、少しでもイルミネーションがあったりすると、とても居心地わるい場所に変わってしまう。
目の前から手を繋いだり、腕を組んで幻想的な灯りに浸ってるカップルが来ると、反射的に脇に寄って”彼らの進路を邪魔してはいけない”とか思ってしまう私って、根っからの負け組だよなとか思ったりする。
本屋に用事があったから来たけど、別に明日の昼間でも良かったな。
わざわざ、こんな時間帯に来なくてもね。
恋人たちや、友達同士でワイワイとにぎわうショッピングモールにお気に入りの本屋があった。
本屋というか、雑貨屋か。
置いてあるものが面白いんだ。
海外SF物のフィギュアがあったり、グッズがあったり。
おいてあるのも、ちょっとマニアックなもので、壁一面に置かれた本も普通の本屋で置いていない物ばかり。
規則性なくごちゃごちゃと思いつくままに陳列されたかのような店内は、床から天井まで物が溢れているけど逆に落ち着く。
去年まで仲が良かった子たちとも会わなくなってしまった私は、冬休みとか暇を持て余しママの居ない夜はここに来て時間を潰していた。
それにここは冴島と学校帰りによく来る店でもある。
おもしろいものを見つけては二人でお腹抱えて笑っていた。
あいつといえば―――
”今度来るときお菓子買ってきてよ”
からの
”ねえ、俺うちいつ来るの?”
に変わってきて、頻繁に聞いてくるからしつこい。
―――そうは言ってもね、冴島君。
わたしも女の子なんですよ。
それに、好きな人の部屋になんか緊張しすぎて行けないし、絶対気持ちバレる。
————私が自分のこと好きだとか
バレたらどういう反応するんだろ?
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