第11話

ママってば、おちょくるように見てこないでよ。


冴島にバレちゃうじゃん。


せっかくこうやって警戒心ゼロで遊びに来てくれるんだからさ、バレるようなことしないでよ。


こういう関係が終わっちゃうじゃん・・・。





「りんごうまい・・・なんで?」


「?特別お高いものではないよ?」


「なんか、甘さがあるのにサッパリしてるっちゅーか」


「ああ、あれじゃない。この子は私の言いつけをちゃんと守ってね、カットした後に”塩水”に漬けるのよ」



確かに、小さな頃からママがしていたからマネをするようになってた。


そうしないと色が変わるし鮮度も急激に落ちて見た目が美味しそうに見えなくなっちゃうんだよね。



「そうなんだ、すげえ、お前すげーじゃん!」


「・・・大げさだし・・」



と言いながらも、褒められて素直に嬉しかったりする。



「なーんか、こういうの知ってる女の子っていいよな~」



だからさ・・・

それどういう意味なのさ。


そんなの笑顔で言われたら、涙が出そうなくらい幸せな気持ちになってるとかさ・・・


勝手に心臓が騒ぎだして、単純な自分に呆れるけど、無意識に責任取れないようなこと言わないでよ。



彼女、いるくせに。


いいよな~なんて言いながら、わたしのことは彼女の対象になることないでしょ?




そういうところ、ムカつくんだよ。

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