第8話

金持ちおぼっちゃまは気楽だな。


お金を自由に使えるし、親に怒られることもないし、こんな時に自由にできるなんて。



「君はどうするの?」


「学校行くよ。欠席扱いになっちゃうもん」


「うっわー…悲惨」


「うっさいだまれ」


「教室に一人?一対一で授業するの?相手の先生も拷問じゃね?」


「二限目で帰るんだよ。だからそんな苦じゃない」


「真面目だね。俺なら全部休むな」


「悪かったな真面目で」




鍋を堪能した後、片付けをする私の傍らで小さなリビングでコタツに入り、ゴロンと横になってテレビのスイッチを入れる。


途端に、テレビ越しの笑い声が狭い空間に響いてきた。



「あー・・・食った食った・・」


「あ、ちょっと、寝ないでよ?」


「———ネテてねー・・・もん・・・」


「寝そうな声で言っても説得力ないんですけど?」


「———ソダネ・・・まあまあ、ヘーわにいこうよ」


「・・・・・あとでたたき起こすかんね」


「ああ、頼む」



こいつは穏やかな性格をしている割に、人の意見は聞き入れない頑固さがある。


だから、いまここで寝ないで帰れと私が奮起して怒ったところで、きっと庭石のごとく動かないだろう。



だから、なにも言う気にならない。


言っても無駄だし、負けたなって思うけど—――



「かわい・・」



洗い物が終わって、コタツに入ってる冴島を見に来てみれば、柔らかい顔で寝ている寝顔が見れるから――――わるくない。


綺麗な顔・・・


触れたいけど—――さすがにちょっとね・・




「あ、みかんだ」



”こたつみかん???してみたい!!今度来るときみかん買ってくる!”



この間来た時そんなことを話していた。



律儀に忘れず買ってくるんだなぁって、普段見ることのない番組を見ながら思いに更ける。

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