第6話
「んだよ、またママに会えると思ったのにぃ」
「なんで私のママに会いたがってるのか、いまいち謎なんだけど」
「だって、いいじゃん、お前んちのママ。」
思わず箸が止まる。それどういう意味?
熟女好きとか?今の彼女も年上だし…
いやいや、それは考えすぎか・・・。
現に目の前の冴島を見ても特に変わった様子がない。
ってか、鍋の具材しか見てないし。
”年が近いってあり?”
聞きたいけど聞けないな
きっとこいつは深く考えてなんかいないんだ。
私って存在はこいつの中では恋とかに興味ないことになってるし、なおさら聞きにくい。
♪~~
冴島のスマホか着信を知らせる。
ってか、見えるところに置いておくなよ。
思わず見ちゃったし、————女の名前だし・・・
「・・・出ないの?」
「・・・ハァ、俺の牡蠣全部食べないでね。」
立ちあがってスマホ片手にドアの向こうに行ってしまった。
ってか、そこ私の部屋なんだけど・・・
勝手に入るなよ、しかもその部屋で他の女と電話してんじゃねーよ。
はぁ、———無意識って、残酷だよね。
私にとっては身を切るように心臓がキリキリと痛むのに、あいつにとっては愛しの彼女と電話してるだけなんてね。
こんど、部屋に何かしらを仕込んで会話を盗み聞きしたくなるほど内容が気になるんですけど。
「~~ーーーー」
何を話してるかは分からない。
でも、私には出さないような低くて男前の声だってのは分かる。
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