ー真夜中のアーケードー

第10話

アーケードを通り抜ける風を感じながら、商店街を歩く


よくこの先にある教会の前で、たっかはアコギで弾き語りをしてて、一緒に連れてってと駄々をこねては困らせていた



何度か今日みたいに根負けして


夜に連れ出してくれてさ


透き通った歌声がここで反響して夜空に解けていくのを


小学生なりに耳と肌で感じてはうっとりしてたんだ



懐かしいなぁ――――でも、私が中学生になる頃にはここで歌う事を辞めてしまった



あの時のキラキラしてた思い出は、私の中にちゃんと残っている


学生や社会人になってからも、この商店街を通るたびに、あの綺麗な夜の日々たちを思い出すんだ




でも今は夜遅いから、少し怖いお兄さんたちが雑談してたり


酔っぱらった人達がヨレヨレになって歩いてる



関わりたくないって思うのに、見ちゃうんだよな‥‥


田舎者の悪い癖だ


そうして、案の定絡まれた

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