第13話

俺ら夫婦は一人っ子同士だし、友達や由香里の男友達も名前で呼んでいるから蓮もそれを真似しているんだ。


「おいちゃん、ママ、ニコニコなの。ちああせ~ぎゅっぎゅもするの」


「・・・おじちゃんとママが幸せギュッギュするの?」


「ち~が~う!れんとー、おいちゃんとー、ママがー、ギューするの」



それを聞いた瞬間、後頭部を何かで殴られたような衝撃が走るようだった。


俺のもしかしてが現実にあり得る事となって浮上してきたからだ。



蓮は記憶力がいいのかその日あったことを事細やかに教えてくれる。


早く寝てしまうから聞く機会がなかったが、そのおいちゃんとやらに蓮が会うようになったのは最近の話なのだろう。



多分、この話を俺にするかもしれないと由香里が警戒して早く寝かせていたのかも知れない。


隠すなら隠し通してくれればいいのに…。


どうして蓮人に会わせて俺にバレるようなことをするんだよ。



俺はこの時、一時の気の迷いだと思っていた。


ついうっかり

興味に勝てなかった

早くに結婚したからもっといろんな人と恋愛をしてみたかっただけ



そんな事ではないかと楽観視していた。

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