第一章 出会いと決別
第2話
私は、目の前に広がる光景にこめかみを抑え、ため息をついた。
「やられた……」
スクールバッグを片手に、天を仰ぐ。
「暇なのかな、あの人たち」
小さく皮肉を呟く。
大きな門の、その扉の前。つまり家の敷地の外。
雨が上がったばかりでまだぬかるんでいる地面に、いくつかのの着物と文房具が、見るも無惨な状態で横たわっていた。
全部私の私物だ。
「この家燃やしてやろうかな……」
そんな物騒なことを考えつつ、私は私物を拾い集める。
全部を腕に抱え、門をくぐった。
眼前に広がるのは、果てしなく続く石畳の道。玄関はその先だ。
一体、玄関までの道のりをここまで長くする必要がどこにあったのだろうか。
相変わらず、無駄なことをする一族だ。同じ名を背負う者として恥ずかしい。
回れ右してどこかに行きたくなったけど、そう言うわけにもいかないので、仕方なく歩を進めた。
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