5
スマホのメール着信音だ。
入れた覚えのないスマホをカバンから取り出すと、使い慣れた私のスマホではなかった。
誰でも簡単に操作できるような作りになっているうえ、真ん中に『友達』と書かれたひときわ目立つボタンが。
「何だこれ」
届いたメールの内容を見るより先に、友達ボタンを押してみた。
「やっほー、つぼみ。何か聞きたい事があるのかな?」
「うわ!」
突然、私の目の前に1人の女の子が出現したので、ビックリして大きな声をあげてしまった。
Vサインしながらニコニコと笑ってるセミロングの活発そうな女の子……。
ヒロインの親友の折原 美奈(おりはら みな)ちゃんだ。
「あ、えっと……。この友達ボタンって何?」
「それを押すと、今みたいに私が飛んで来るんだよー。困った事があったらいつでも呼んでね」
私の質問にニコニコしながら親切に答えてくれた。
つまり、チュートリアルとかヘルプのようなもの。
一応、親友の設定なのに、そんな都合のいい存在でいいのかな……?
ゲームではもっと親友らしかったんだけど。
さすが私の夢の中。
攻略する王子様以外の存在は適当に設定されているってわけね。
「ありがとう……」
「どういたしまして。それじゃ楽しんでね」
美奈ちゃんは、ヒラヒラと手を振るとパッと姿を消してしまった。
同じクラスの子のはずなのに、教室内に姿は見当たらない。
まあ、攻略する主用の3人がいれば他はどうでもいいのかな。
そんな事を考えていたら、目の前がパッと暗くなる。
特別なイベントがないからまたワープかな。
まあ、最初はビックリしたけれど、自分が動かなくていいからラクだよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます