第15話

「1200年ぶりに再会って

なんか凄いよね」


「そうだね、でも私、皇くんのこと

まだ、ほとんど思い出せてない」


「一緒に妖魔を退治してたのは

思い出してる?」


「うん、皇くんがこの弓道部に

入部したころから

やたらと、着物着ながら

京都っぽい街を走りながら

妖魔退治してる夢は見てる


いま言えるのはそれくらいかな……


あと、もうひとり誰かいつも

出てくるんだけど

その人は、皇くんと全然違う感じの人で……」


「俺も、夢で、もうひとり別の人物が

出てくるのを夢で見てるんだけど……

藤守さんと話をすることで

その人物のこと何か思い出せるかなと

思ってたけど、どうやら難しいみたいだ」


「その人は、皇くんの想い人か何かなんじゃない?」


「は?!」


「だって、私とは違うけれど

やっぱり思い出せないなんて

何か悲しい出来事でもあって

思い出さないようにしてるのかなって」


「……」


彼は、彼女のその言葉に

何も言い返せなかった


彼が一番真っ先に会いたいと願っていたのは

この世では、彼女以外

考えられなかったから


そして……

もう彼女の言っている

悲しい出来事が何かを

彼は知っていた



今度こそ

絶対、君を守り抜く

守って見せる


1200年も前からずっと

忘れなかったこの気持ちを

今度はちゃんと

君に伝える

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