第14話

「藤守さん、全然、俺のこと分かんないの?」


「え?」


「俺と藤守さんは、1200年くらい前から

知り合いのはずなんだけど」


「は?」


今度は彼女が

驚く番


「1200年も生きてるわけないでしょう?

新しい口説き文句?」


「1200年も生きてたら、化け物になってるよ

そうじゃなくて、多分、俺と藤守さんは

同じ時代に転生したんだと思うんだ」


「転生?」


「生まれ変わったんだよ、同じ時代に。

俺、いっつも夢で見るんだよね

1200年くらい前にさ、君とふたりで

たくさんの妖魔を退治してるのを。

そして、俺も、昔から霊感が強い方でね」


彼女は信じられないというような顔をしていた。


当然だろう

急にそんなことを

言われて、はい、そうですか

とあっさり頷けるなら

この世の中に不思議なことなんか

何もない。




実は、彼女は

最近になって、彼の言うような

平安時代の夢を見るようになっていた。


おそらく、それは

彼がこの弓道部に入部した時からだと

思う。


彼女ともう一人の人物と

一緒に平安の街を駆け抜けながら

妖魔の退治を行う夢。



彼が近づくことで

彼女は能力的には覚醒していたが

記憶はまだ、戻っていなかったのだが……。

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