第12話

「あれ?おかしいなー」


彼の頬から手を離し

彼女は腕組する


「皇くんって、何だか普通と違う

オーラがあったから」




彼女も彼と同じことを思っていたようだった。


となると

話は早いと彼は思った。


「ずっと、探してた」


「探してた?

私の命を狙ってたってこと?」


「は?」


「私、見えるんだ霊感が強いと言うか……

小さい頃から、妖魔と縁があってね

だから、皇くんのオーラも、そういう系かなと」


「待ってよ、俺は、違う」


「違う?だって、皇くんの周りには

今、妖魔がうじゃうじゃいるよ?

もしかしたら、皇くんは、妖魔の王とか?」



妖魔の王って……

そんなこと言われたのは初めてだったので

彼は急に動揺しだした


妖魔が見えるのは

彼と同じだけれど

それを敵方として見られるなんて

心外すぎる



「藤守さん、知らないの?」


「何を?」


「この場所、霊感強い人なら

見えるくらい、怪奇現象が多いってこと」


「それは、薄々気付いてた」


「大体、さっきの何なのさ

俺を誘惑してどうするつもりだった?」


「部活を辞めてもらうか、あなたを

仕留めるかどっちかかな」


なんて恐ろしいことを……

可愛い女の子くらいに

思ってたのに

彼女は、ただ単に

弓道が上手いだけじゃなく

霊力も持っていたとは



やっぱり

俺と彼女は

恋愛よりも仕事(使命)

優先になるのか?



夕暮れの空が

どんどん暗くなっていく

あやかしが一番活動しやすい

時間が

始まりかけていた

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