第21話

コロナ禍ということで

閉店時間も早く

ほんの1時間くらい

アルコールを飲んで

僕たちは

店を出た。



駅までは

10分もかからないで

着く距離だけど…

タクシーで別に帰るのが

スマートなのか

それとも

一緒に駅まで行くのが

スマートなのか…


ここでも僕は、吉田さんの

僕に対する好感度を気にしていた。


そうこうしているうちに

雨がポツポツ降ってきた。


「そこの、コンビニで傘を買ってきます」


僕はそういうと、近くのコンビニに入った。

入口付近に、傘はあったけれど…




「すみません、傘が1本しかないせいで

窮屈ですよね」


「いえ、そんなことはないんですけど…」


僕らは、二人で一つの傘に入っていた。

誰かと一緒に傘に入るのって

いつ以来だろう…


学生の時以来かな…


あれから

もう何年も経つのに

やっぱり、女の子と一緒の傘って

なんだかドキドキしてしまう。


女性と付き合うのが初めてというわけでもないのに…



「もうちょっと、中に入ってください」


「あ、はい…」


吉田さんの体が少し僕の体に触れた。


「あ、すみません、なんか近すぎですね」


僕の体に、ほんの少し触れただけなのに

ビクッとしながら、離れる彼女の姿が

少し寂しく感じつつ、初々しいような

そんな感覚だった。

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